人気ドラマ「HEARTSTOPPER」の原作コミックスを読んだことはありますか?!
アリス・オズマン原作のイギリス発LGBTQ+コミックス。
「LGBTQ+コミックス」あるいは「クィアコミックス」ともよばれています。
日本ではまだ聞き慣れないジャンルではないでしょうか?!
この記事はこんな方にオススメ!
海外のコミックスに興味がある!
BLコミックスを読んだことある!
ストーリーがしっかりしているBLを読みたい!
BL読んでるけど自分は腐女子とは違うと思う。
では、早速コミックスの紹介からしていきます!
HEARTSTOPPER(ハートストッパー)
”LGBTQ+多様性青春コミックス”
■あらすじ■ 出典 Amazon
イギリスの男子校に通うゲイの少年チャーリーと、一学年上でラグビー部員のニック。
偶然出会った二人はすぐに心を許せる親友となり、友情はまもなく恋心へと変わっていく……。
過去にゲイをカミングアウトしたことで酷いイジメを受けたチャーリーは、心に深い傷を抱えている。
自分はストレートだと思っていたのに、チャーリーに惹かれていく気持ちに動揺が隠せないニック。
そんな二人の甘酸っぱくて切ない青春ラブストーリーであると同時に、〈LGBTQ+〉をテーマにしている本作。
ゲイやレズビアン、トランスジェンダーのキャラクターが多数登場し、セクシュアリティの揺らぎ、カミングアウト、偏見や無理解といったリアルな問題についても丁寧に取り上げている。
「HEARTSTOPPER」魅力を解説!
「HEARTSTOPPER」ではメインの男性のカップルの他にも登場する人物が大勢いますが国籍、人種、ジェンダーのあり方全て多種多様なのは海外作品ならではだと思います。
近年の日本のBLコミックスでもゲイ以外のレズビアン、トランスジェンダーや障害のあるキャラクターが登場し多様性が感じられる作品も見かけます。
海外のLGBTQ+コミックスを見たのはこちらの作品が初めてでしたが、恋愛物でありつつも友人や家族、先生とのコミュニケーションなど心情が丁寧に描かれている人間関係もこの作品の魅力だと思います。
現在4巻まで発売されています。
もちろん日本語翻訳版がありますので気負わずによ読めて、ボリュームもあるので読み応えもあります!
ハートストッパー 見どころを紹介!
また、「HEARTSTOPPER」のストーリーの中でも作者が伝えたいこととして、摂食障害の人を救いたいという思いも強く伝わって来ます。
主人公には摂食障害があり、そのことを知った周りの友人がどう接すればよいのか試行錯誤する場面も印象的です。単純な恋愛描写だけではない深いメッセージ性のある作品とも言えます。
チャーリーとニックの関係が近くなるにつれて2人を取り巻く家族との関係も深堀りされていきます。
友人関係でもカミングアウトをするかの葛藤や同性愛に否定的な先輩との確執など、リアリティが感じられるストーリーなので恋愛の要素意外にもマイノリティの方が読んで共感や感情移入できる作品なのではないかと思います。
クィアな視点のオススメ紹介サイト
cinra Netflixドラマ化『ハートストッパー』が祝福する、「希望」に満ちたクィアな若者たちの生
「LGBTQコミックス」/「クィアコミックス」と「BLコミックス」の違いは?
リアルな当事者視点で描かれているか?
「LGBTQコミックス」「クィアコミックス」日本ではまだ聞き慣れないジャンルではないでしょうか?
日本の書店で最近コミックスのジャンルとして確立しつつある”ボーイズラブ”BLというジャンル。
男性同士の恋愛を描いた作品に限定されてしまいますが、LGBTQコミックス/クィアコミックスは全てのマイノリティを包括するコミックスです。
海外ではこの大きな括りの中に細かく性的指向や自分が共感できる人種、容姿(髪、肌の色)や細かくジャンル分けして検索をできる書籍サイトもあります。
性的な描写の基準がちがう?
日本のBLコミックスは爽やかなものもありますが、全体的に性描写が必ずある、あるいは多い印象を受けます。
また、年齢制限があるものや不健全図書のちがいがわかりずらく何を基準にしているのかがわからない物もあります。人が読んで判断するのも限界や感じ方の違いが出てしまうので難しい問題なのかもしれません。
映画やドラマの年齢制限や注意事項の基準を考えると、日本は海外の年齢制限の基準よりジャッジがかなりゆるい可能性があります。
「BLコミックス」が誕生した理由とは?
BLの原型となるマンガが登場した背景には社会的な理由がありました。
1970年代、社会的な立場の弱かった女性を主役にした少女マンガでに限界を感じ、描ききれない世界観を男性同士に置き換えると社会的に対等な立場で自由に物語が描けるという「革命のような物」だったと言います。
その後、一部の女性の娯楽としての需要の為に進化したBL作品ではありますが、近年の時代の流れの影響を受け多様性に共感を感じられるBLコミックスも増える傾向にあります。
リアリティを感じられるBL作品とは?
BLコミックスは男同士の恋愛がテーマにありますが、そのほとんどは女性作家による女性が楽しむために描いた作品です。
当事者でない異性がどれだけリアリティのある作品を描けるのでしょうか?
読み手の女性が楽しめる、都合の良い現実と切り離されたファンタジーや年齢制限がないものでも何を持っての年齢制限なのか?と思うアダルト寄りの作品もあります。
女性がまだ”将来はお嫁さんになる”ことに憧れていた時代から時は流れました。女性の社会進出、世の中は今や多様性が求められる時代です。
BLコミックスもその時々をリアルに生きている女性作家の様々な視点で、時代背景の影響を受け進化し続けています。
BLは女性の娯楽
BL=ボーイズラブ。「少年愛」
若い少年?青年?が主役の恋愛もの。
日本はこのあたりの年齢基準も海外に比べるとゆるく、今の時代はアウトなものがかなりあります。
海外では違う意味合いになるのでNGです。
というようにLGBTQ+とは全く異なる概念から派生しているジャンルです。
日本のBLコミックの成り立ちは女性向けの娯楽の要素からスタートしているので、LGBTQ+視点ではないというのが大きな違いかもしれません。
BLコミックスは”アライ”になれるのか?
近年注目すべきなのは多様化社会の影響を受けた作品が増えている点です。
登場する人物が同性しかいない世界観では無く、現実的世界観で描かれてい同性同士の恋愛の困難さや、思いが成就したその先にある家族へのカミングアウト、結婚観、孫の問題や介護まで様々なLGBTQ+が抱える悩みをストーリーに盛り込んだBLコミックスもある。
娯楽要素よりも当事者の気持ちを代弁し、LGBTQ+フレンドリーな社会の在り方を示唆するようなストーリーは読み手が多様性を実現するにあたりエンパシーを感じられる作品であるとも言えます。
このような作品を社会へ送り出し続けることはLGBTQ+アライのような存在の作品とも言えるのではないでしょうか?
LGBTQ+アライ(Ally)とは?
性的マイノリティ(クィア)な人々を、そうではない人(異性愛者)が支援し、迫害や差別をなくそうと働きかけること、また、そういう思想を持っている人のことを「アライ」と呼びます。
日本のマンガ文化とBLの関係
竹宮惠子「風と木の詩」・萩尾望都「ポーの一族」
日本のマンガは「文化」と言われるほど奥が深く、女性マンガ家が活躍するようになると割と早い時期に今のBLの元となる竹宮惠子先生、萩尾望都先生の作品が発表されました。
yaoi と 腐女子
その後、一部の人に楽しまれていた女性の娯楽は少年誌のキャラクターをカップリングする二次制作の自費出版同人誌”yaoi”と呼ばれるようになります。
また、当初はyaoiを好む女性を侮辱する意味で主に男性オタクに使われていた”腐女子”というネーミング。
その後は自虐的な意味も含め、他ジャンルオタクとの区別をわかりやすくする”腐女子”というラベリングを自らするようになりました。
近年はBLが誰でも読める身近な物になったのでBL読んでる=腐女子という決めつけもできないかもしれません。
商業BL
その後、自費出版で同人誌を描いていた実力のある人気作家さんが出版社からオリジナル作品でデビューするようになります。
自費出版ではなく、ビジネスジャンルとして確立したBLを商業BLといいます。近年は漫画コーナーにBLという棚が用意されている書店もあります。
書店以外にも大手通販や電子書籍でも取り扱いがあり、誰でも気軽に読める存在になります。
BLビジネス
コロナ禍の「stay home」も手伝って2020年頃から日本のみならずアジアで全体でコミックス、小説、アニメ、ドラマと空前のBLブームを巻き起こし、ビジネス的にも右肩上がりのジャンルと言えます。
あとがき
最後まで読んでくださりありがとうございます!
近年の多様な性のあり方に影響を受けLGBTQ+の当事者が読んでも不快にならない性別を超えた人間愛として描かれた丁寧な描写や、時代背景を踏まえたリアリティのあるストーリーの作品に出会う機会も増えました。
とは言え、ほとんどが女性作家による女性が楽しむための作品であるため、過剰な性描写などゲイの方からすると男性搾取とも捉えられる作品もあることは事実です。
このブログ内でBLを取り扱う場合はLGBTQ+視点の人間愛を感じられる優良作品にのみ言及したいと思います。